【投稿者の妻:立花依子(32)】
私は妻を売ってしまった最低な男だ。
妻は若くしてこの旅館に嫁ぎ、女将として妻は本当によくやってくれている。
そんな女将の身体を交渉の道具として差し出してしまったのだ。
妻は女将としての責任からか、望んでもいない男に蹂躙される道を拒まなかったのだ。
私は、ある老舗旅館の社長として経営をしている。
先代は早くして亡くなり、私達夫婦は早くに旅館を継いだ。
しかし私の経営が力不足だったのか、外国人旅行客の集客に乗り遅れたのか、はたまた当館のある温泉街のPR不足だったのか…
それらの複合的な理由で経営は芳しくなかった。
周囲のホテルが一つ、また一つ廃業していく中、私達夫婦は従業員たちの生活と歴史ある旅館を守るために精一杯頑張ってきたつもりだったが、ついに来るべきときがきてしまった。
取引のあった銀行からの追加融資も断られ、ついに経営が行き詰まってしまったのだ。
女将として各所を奔走する妻に報いることが出来そうになく、力不足に絶望していた。
それどころか融資の返済も間近に迫り、いつ破産してもおかしくないところまで追い込まれていた。
そんな時、私達と旅館に光が射す出来事があった。
それはKという男との出会いだった。
どこから聞きつけたのかは知らないが、この旅館の経営が厳しくない知ったKは個人スポンサーとして巨額の融資を提案してきた。
それだけではなく、自分以外にスポンサーに名乗りを上げる者たちを取りまとめてきたのだ。
私達にとって、その提案は喉から手が出るほどに欲しいものだった。
顧問弁護士と相談しても問題はなく、これ以上のない条件を私は受け入れる事にした。
しかしこの時は契約前。
明日、契約する予定だった夜、私達夫婦の安堵は地に落ちることになったのだ。
契約前日の夜、Kは当旅館に泊まっていた。
当館で一番高い離れの部屋。
経営者としての欲目を抜きにしても高級感は他所に負けておらず、Kも満足していた。
私は親睦を図るためKの部屋に呼ばれ夕食を一緒にしていた。
初めは女将も一緒になり、その後は二人だけの夕食。
私はこの男に感謝する事しかできなかった。
この時は本当にKに対して感謝と好意しかなく、それがまさか裏切られるなんて思ってもいなかった。
事態が変わり始めたのは、料理も食べ終わり二人とも軽く酔った頃の事だった。
「ここの女将はとても上品で美しい方ですね。」
Kがそう切り出したのが始まりだった。
女将である妻に対して評価を続ける男。
妻は美しい事もあり程度の差こそあれよくあることだと流していたが、今回は違った。
Kの要求は「しばらく女将と二人きりにして、誰もこの部屋に近づけないで欲しい」と言っているに等しかった。
しかも、それが為されない場合は融資を見送ると言うではないか。
明言こそしていないが「融資する代わりに女将を抱かせろ」と言っているのは明白だった。
私は断ろうとしたが、そうしてしまうと旅館の廃業は決まったようなものだ。
しかし、Kは「抱かせろ」とはっきり言ったわけではない。
もしかすると私の早とちりなのかもしれないと、淡い期待に縋る自分もいた。
私はその条件を飲んだ。
私の前で女将への恥辱が待っていた
「お疲れさまでした。どうでした?」
すっかり酔の冷めた私が事務所に戻ると女将が心配そうに一人待っていた。
大丈夫だよ伝えると、心底安心したように笑顔を浮かべる。
私はこの笑顔を潰すことになってしまうかもしれない。
そんな時、一本の電話がKの離れから届いた。
「もう少し飲みたいから、熱燗を持って来て欲しい」と。
俺は葛藤したが女将に運ぶように頼んだ。
快く引き受ける女将の顔が辛い。
「大事な方だから粗相のないように」と部屋に向かう女将に声をかけた。
事務所に一人で帰りを待つが気が落ち着く訳もない。
さっきから頻繁に時計を見るも、針は一向に進まない。
もう体感では何時間も過ぎているのに、女将が出てからまだ10分も経っていなかった。
私はどうしても女将が向かった離れの様子が知りたくなり、許されない事なのは十分に分かっているが離れに足を向けた。
管理用の通路から離れの片隅から部屋に向かう足取りは軽いのか重いのか判断がつかない。
庭木を掻き分け部屋に近づくにつれ、真夏のせいか不安のせいか汗が額から流れ落ちてくる。
庭木を望める大きな窓から見つからないよう、暗がりから覗き込んだ。
息を落ち着かせながら部屋を覗くと、はっきりと二人の姿が見える。
そこで俺の目に映ったものは……
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エッチな願望はここで発散!